【第2章】日本のeスポーツの課題と今後の展望

みなさんこんにちは。うらたかです。

今回は第2章第2節から同章第4節までを投稿していきます。

 

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第2節 eスポーツの競技

 一言でeスポーツと言っても、プレイされるゲームには様々な種類がある。ここでは、大きく7つのジャンルに分けてeスポーツでプレイされているゲームを紹介していく。

 

(1)マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ(略称:MOBA)

 

 チームで戦い、味方と協力しながら敵の本拠地の破壊を目指すゲームジャンル。リアルタイムに進行する時間に対応しながら、俯瞰視点で戦場の動きをとらえ、プランを立てて敵と戦っていく。最大のミッションである「敵陣地の破壊」のために、チーム内で「メンバーの配置」「攻撃と防御」など、戦術や戦略的要素が重要になる。

 主なゲームタイトルに、『Dota2(ドータ・ツー)』『League of Legends(リーグオブレジェンド)』『王者栄耀』などがある。なかでもLeague of Legendsは、2016年には月間アクティブユーザー数(1か月に1回以上のサービス利用があったユーザー)が1億人を突破するなど、世界で最も参加ユーザーが多いゲームとしても有名である。

 

(2)リアルタイム・ストラテジー(略称:RTS

 

 ゲームの中でプレイヤーが一軍、あるいは一国を率いて戦う戦略ゲーム。自分の陣地の資源を内政によって増やし、その資源をもとに兵士や武器を生成して相手の陣地を攻め落とすことを目標にする。シミュレーションゲームの一種だが、一人で行うシミュレーションゲームのようにじっくりと時間をかけて戦略を考えることはできず、文字通りリアルタイムで操作し、対戦相手との駆け引きをする必要がある。

 主なゲームタイトルに、『StarCraft Ⅱ(スタークラフト2)』『Age of Empiresエイジオブエンパイア)』『Warcraftウォークラフト)』がある。StarCraft Ⅱは「韓国の国技」ともよばれ、世界大会を開催するとベスト8がすべて韓国人選手、のような結果になることもある。

 

(3)ファーストパーソン・シューティング(略称:FPS)・

 シューティングゲームとアクションゲームの要素がミックスされたゲームジャンル。ゲーム画面には、プレイヤー・キャラクターの一部(腕など)と、武器や道具のみが表示され、主人公であるキャラクターの一人称視点でゲームを進行し、敵と戦いクリアしていくアクションゲーム。近年は、プレイヤー・キャラクターの姿が第3者視点から見えるサードパーソン・シューティング(TPS)と呼ばれるゲームも多く登場している。

 主なゲームタイトルには、『Counter Strikeカウンターストライク)』や『Call of Dutyコールオブデューティー)』『Rainbow Six siege(レインボーシックスシージ)』などがある。

 

(4)バトルロワイヤルゲーム

 2017年3月にリリースされた『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS(PUBG)』を筆頭に近年人気の出てきたゲームジャンル。オンライン上でプレイヤー同士がフィールド内にあるリソースを用いて最後の一人になるまで戦い抜くゲーム。 FPSあるいはTPSのゲームをベースにした作品が多い。

 主なゲームタイトルには、『PUBG』のほかに、『Fortnite(フォートナイト)』『ApexLegends(エーペックスレジェンズ)』などがある。特にフォートナイトは、優勝賞金3憶2600万円、賞金総額約32億円の世界大会が開かれるなど、絶大な人気を誇っている。

 

(5)スポーツゲーム(略称:SPG)

 スポーツを題材としたゲームジャンル。さまざまなスポーツを題材にしたゲームがあるが、eスポーツシーンでは、サッカー・バスケットボール・アメリカンフットボールなどの球技がプレイされることが多い。

 主なゲームタイトルには、『FIFA』『ウイニングイレブン』『実況パワフルプロ野球』『NBA2K』などがある。

 

(6)コレクタブル・カード・ゲーム(略称CCG)

 

 日本では「トレーディングカードゲーム」と呼ばれることが多い。『遊戯王』『ポケモンカード』などリアルなカードで遊ぶゲームが一般的だが、eスポーツでは対戦形式の2人プレイのデジタルカードゲームを指すことが多い。海外では、世界で7000万人のプレイヤーがいるとされる『Hearthstone(ハースストーン)』が人気だが、日本では『Shadowverse(シャドウバース)』の人気が高く、国内大会も開催されている。

 

(7)格闘ゲーム

 

 格ゲーと称されることが多い。特に日本で盛り上がりを見せるゲームジャンルで、各プレイヤーが1キャラクターを操り、1対1で対戦相手の体力がゼロになるまで格闘対戦をするゲーム。

 主なゲームタイトルには、『ストリートファイター』シリーズ『鉄拳』シリーズ『大乱闘スマッシュブラザーズ』などがあり、日本発のゲームタイトルが多い。

 

第3節 eスポーツの歴史

 

 eスポーツのルーツとして挙げられるのが、「LANパーティー」である。LANパーティーとは、参加者一人一人がパソコンとモニターを持ち寄り、LANで接続してマルチプレイなどを楽しむ文化であり、主にヨーロッパを中心に流行した。

 LANパーティーから一歩進み、「競技」としてのゲーム、つまりeスポーツが始まった年は、1997年と言われている。この年にアメリカで開催された「CYBERATHRATE PROFESSIONAL LEAGUE(CSL)」というイベントの人気が、オンラインゲームの普及とゲーマーのプロ化を広めた。その影響もあり、同年には世界初のプロゲーマーリーグ「POFESSIONAL GAMERS LEAGUE(PGL)」が誕生した。

 PGLの誕生と並んで、「1997年はeスポーツが始まった年」とされる理由に、インターネットの普及が拡大した年であるということも挙げられる。2012年12月に作成されたNUA社「生活の情報化調査」によると、1997年9月の世界のインターネット人口は7400万人、そして翌年1998年9月のインターネット人口が1億4700万人と、1997年から1998年にかけて、倍近く増えていることがわかる。

 1997年から少しずつ広がっていったeスポーツは、2000年以降もさらに世界へと広がりを見せた。2001年には、韓国で「WORLD CYBER GAMES(WCG)」がスタートし、最盛時には全世界74か国150万人以上の参加者を記録した。規模は年々拡大し、主催地も韓国だけでなく、アメリカ・シンガポール・イタリア・ドイツ・中国など世界各地で行われている。賞金総額も2009年には50万ドルを超え、賞金の高さからもeスポーツが注目されるようになった。

 

第4節 eスポーツの経済規模

 

 第2節ではeスポーツでプレイされるゲームの種類について、第3節ではeスポーツの歴史について紹介した。この節では、eスポーツの経済規模について述べていく。

 

  • 競技人口の推移

 

 経済規模について述べていくうえで気になるのは、競技人口の推移である。しかし「どのゲームタイトルがeスポーツに該当するのが不透明」「『競技人口』の計算基準の解釈が多岐にわたる(プロの人数なのか?大会参加者の人数なのか?潜在関与層まで含むのか?)」といった理由により、eスポーツの競技人口としての正確なデータは2019年12月現在、調査・公開されていない。しかし、『League of Legends』のように、1タイトルで月間1億人以上のアクティブユーザー数を誇るゲームがあることを考えると、eスポーツ全体で考えた時の競技人口が膨大な数になるのは推して知るべきである。

 

(2)ゲームコンテンツの市場規模

 

 オランダのアステルダムに本拠を置く、ビデオゲームのリサーチ会社Newzooの調査によると、2018年におけるeスポーツの市場規模は前年比38.2%増の約975億円で、ゲーム産業全体(同年約15兆円)の5%にも満たないが、ゲーム産業全体の2012年以降の年平均成長率が約11%で推移していることを考えると、eスポーツ市場の成長スピードは驚異的である。このスピードで成長を続けていくと、2021年には1700憶円を超える市場に成長することが見込まれている。地域別にみると、世界のeスポーツ売上高の約38%を北米地域が占め、世界最大規模の市場となっている。アジア地域では、中国がeスポーツ市場全体の約18%を占めており、アジア地域のeスポーツの成長をリードしている。

 

(3)日本のeスポーツ市場規模

 

 株式会社Gzブレインが発表した日本国内の2018年のeスポーツ市場規模は、前年比の13倍にも及ぶ48.3憶円と、急速に拡大した。前年比13倍という大幅な伸長の理由として同年2月に「日本eスポーツ連合JeSU)」が発足され、プロライセンスの発行が開始されたことと、それを皮切りに、eスポーツに関する報道が急増、各テレビ局や動画サイトでのeスポーツ関連番組の放送・配信が開始されたことによるスポンサーシップに関わる収益が拡大したことが挙げられる。さらに、フォートナイトやPUBGなどの、eスポーツ競技に採用されているタイトルのゲーム内課金の増加も増加している。

 eスポーツの存在が急速に認知されことにより、2017年から2018年にかけて、国内のeスポーツ市場の規模は大幅に拡大した。しかし、2000年代初頭から着実に成長を続けてきた世界のeスポーツ市場に比べて、日本では成長が遅いどころか、eスポーツが知られ始めたのすらここ数年と、出遅れた感が否めない。

 次の章では、『ゲーム大国』と呼ばれることもある日本が、なぜeスポーツの分野では世界に大きく出遅れることとなったのか述べていく。

 

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